地域活動

【1】つくば日本語支援プラットフォーム

出入国在留管理庁「在留外国人統計」 によると、2019年6月末の茨城県の在留外国人人口は、67,986人、人口比2.4%で、全国10位となっています。中でも、つくば市(10,061人)、常総市(5,239人)、土浦市(4,247人)の3市に人口が集中しており、茨城県の在留外国人の三分の一がこの県南に集住しています。全国的にも、近年は特に定住・永住者の増加が目立ち、日本語指導が必要な児童生徒数は、過去最高となっています。

2019年6月には「日本語教育推進法」も成立し、日本社会全体で多文化共生社会が抱える問題が意識化されつつある中、大学のような高等教育機関には、日本語教育人材育成のための養成・研修を充実させることはもちろんのこと、「生活者としての外国人」を地域社会全体が包括的に支援するための枠組みの構築について、知見を共有し、行動する中心的役割を担う責務が求められています。

多文化共生にまつわる諸問題、特に外国人児童生徒や子育て家族が抱える教育・生活上の問題を解決するにあたっては、研究教育機関である大学のみならず、市内の小中学校、保育園・幼稚園や、市や県の行政機関との連携が必要不可欠ですが、これまでつくば市には、小中学校の教育現場、市民ボランティア団体、国際交流協会や民間の日本語学校などの、支援に関わる人的組織の連携・協力体制が、ほぼないと言ってよい状態でした。

豊田市や浜松市などの外国人集住地域の先進事例を見ても、児童生徒の適正な発達と社会的自己実現の基盤となるべき包括的・継続的な日本語支援には、関係組織の連携と、その間を取り持つ専門的知識を持った「地域コーディネーター」となるべき人材の存在が必要不可欠です。

そこで、私たちは、

  • つくば市教育局
  • つくば国際交流協会
  • 市民ボランティア団体
  • 筑波学院大学
  • 筑波大学

から構成された「つくば日本語支援プラットフォーム」を2019年4月に立ち上げ、不定期に会合を開きながら、情報共有と課題の洗い出し、そして課題解決のための実践を行ってきました。

また、2019年6月より、茨城県教育委員会、NPO団体との連携によるグローバルサポート事業へ参画し、小中高等学校における外国人児童生徒教育への支援やアドバイザー業務の実施を行ってきました。 これら様々な関係者・関係組織が連携して、組織的にプロジェクトに取り組めるようになったことの意義は非常に大きく、今後、外国人児童生徒、日本人児童生徒、日本人大学生、留学生、学校教員、市職員、地域住民等々、様々な層への波及効果が期待できます。

【2】T-ACTつくば子育て家族サポートプロジェクト

全学の教職員と学生が一体となってプロジェクト型教育を行うべく、2019年から、筑波大学社会貢献プロジェクト「つくば市における外国人児童生徒支援体制の構築」の助成を受け、T-ACTプラン「つくば子育て家族サポートプロジェクト」を活用したアンケート調査や懇話会を実施しています。これにより、オーガナイザー学生が地域課題解決活動を通じた主体性を涵養することを目指しています。

懇話会の第一回は2019年11月に行われ、子育てをしている中国語話者の方を対象に、つくばでの生活に必要な情報や子どもの教育等(言語教育・進学について)に関して困りごとを共有する機会を提供しました。大人が懇話会を行う間に子どもが遊べるキッズスペースも用意し、留学生家族と日本人学生・教職員で、課題の解決にむけて共に考えました。

【3】筑波大学エクステンションプログラム

筑波大学による社会貢献の取り組みの一環として、2019年よりエクステンションプログラム「子どもたちの日本語学習支援研修」を開講しています。リサーチ・グループのメンバーが講師となり、毎年、講義やワークショップからなる研修を実施しています。小中学校・高等学校等教員、自治体職員、日本語教師や市民ボランティアの方など、日本全国から、時には海外から毎年50名程の参加があります。

【4】国際シンポジウムの開催

アジアの各地の急速な多国籍化を受け課題解決の知見を共有すべく、2019年2月19日-20日に、「地域社会と多文化共生」シンポジウムを行いました。19日は66名、20日は57名の来場者があり、日韓の外国籍児童生徒教育問題、帰国生の異文化理解、外国人労働者支援、入管法改正、「ミャンマー国初等教育改革プロジェクト」、無資格在留外国人、生野コリアタウン祭り、ネパール人留学生に関する研究発表が行われ、学内外の参加者から活発な質疑が行われました。

2020年1月12日-13日には、第2回の国際シンポジウムが開催され、3本の基調講演と16本の研究発表が行われました。学生・教職員、学外の方等168名の参加があり、発表後の質疑のみならず、休憩時間や懇親会、そして会終了後も、熱く意見交換が行われていました。

【5】プレスクールの検討

つくば市国際交流協会と連携協力し、就学相談や進路希望などの聞き取り調査を行い、子育て外国人家族が適切に就学手続きできる説明会を実施します。現在、つくば市役所の市民窓口課では、住民登録に来た外国人に学齢期の児童生徒がいた場合でも特に就学説明は行わず、自発的に希望した家族だけが学務課で就学手続きを行っています。 そこで、他自治体の取り組みを参考に実施の計画を立て、市民窓口課と学務課の間に入って保護者への聞き取りや進路相談を行い、児童生徒の日本語支援などのプレクラスが行える可能性について検討し、効果的な支援策の策定を行う予定です。